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2019/06/04  sb69
 game

大体シンガンクリムゾンズのファン








「えっと、みんなお疲れ様!」
「ア゛ァ?って家畜第一号じゃねーか」
「なんだ?お前今日俺達が前座だったの知ってたのか?」

「あー、いや、今日はたまたまトラクロのライブに……」
「と、友達に誘われて……ですね……」
「そしたら前座が予定のバンドじゃなくてシンガンクリムゾンズだったから途中で抜けて、出待ちしてました」
「ハッハッハ!流石だな家畜第一号!」


「あ、あの……ロム……」
「ちょっといいか?」
「あ、うん」


「なんだよーロムのヤツ。家畜第一号連れて行きやがって」
「故にいつもよりレジェンド・オブ・険しい顔をしていたな」
「あの者は闇の太陽神にさえ振り向かぬ背徳者…仕方のない事だ」


「えっと、つまりあの人はシンガンクリムゾンズの最初のファンってこと?」
「ああ、そういえばシアンはあの方とお会いするのは初めてでしたね」
「あのひとはロムの昔からのファンなんだよ」
「同じ事務所なのもあってモアたちのライブにもよく来てくれているピュル~!」


「ろ、ロム?」
「なんで、トライクロニカのライブに行ってたんだよ」
「友達に誘われてって……」
「ホントか?」
「う、うん」
「……そうか。すまねェ、腕掴んだりして」
「あ、いや、別に」


「ねえ、ロム」
「ずっと気になってたこと、聞いていい?」


「……ああ」


「あの、さ。トラクロのシュウ☆ゾーって」
「あの、シュウなの?」


「……」


「今日初めて、トラクロのライブに行って思ったの」
「ああ、やっぱり似てるなって」
「見た目とか、声もだけど、ギターを鳴らす仕草とか」
「生で見て、やっぱり似てると思った、から……その……」
「……ごめん、なさい……」
「多分、聞いて欲しくないことだよね、わかってるんだけど……」


「やっぱりシュウのこと、忘れられないんだ」
「唐突に音信不通になって、お前の事捨てたのにか?」
「そうだね。出待ちする為に抜けたのは半分ウソなんだ」


「あのシュウ☆ゾーを見てるの、つらくてさ」
「友達も私がシンガンのファンだって知ってるから出待ちするって言ったらもったいないって言いながらもわかってくれたし、よかったんだけど」
「シンガン見てからトラクロ見てるの、つらくなっちゃって」
「彼女だったとか、そんなのじゃなくて……純粋にみんなのファンだったから」


「どうして、こんなことになっちゃったんだろうって」


「……すまねェ」


「ごめんね、こんなこと聞いちゃって」
「ちょっともう泣いちゃってみんなにあわせる顔無いから帰るね」
「また、次のライブで」


「おう、気つけて帰れよ」
「(どんだけコイツが悲しんで居たとしても、俺の声はコイツには届かない)」
「(届くのはシュウの声だけ、だ)」


「ずっと俺のファンだった癖に、いつまでもシュウに囚われてるアイツ見てっと俺も辛ェよ……」
「シンガンクリムゾンズを追いかけてる間は楽しそうにしてくれてるのが唯一の救いだけどな」


「あっれ、家畜第一号は?」
「ああ、用があるからって帰った」
「なんだよー!俺も話したかったのによぉ!!」
「これ、差し入れだとよ。また次のライブで会おうって言ってたぞ」




「く、クロウ……!」
「あ?……てぇ!?」
「し、心配したんだからあ!!!」

「梓、俺たちは皆無事だからな?お前の気持ちはよーくわかるが……」
「う、うむ。拙者も貴殿の気持ちはよくわかる。しかしだな」
「か弱き矮小な生き物は貴様に触れられる事に耐性が無い故、恥も知らずにこのような場で息絶え絶えになっている」

「そ、そうですわ!梓!」
「このままじゃクロウが照れて死んじゃうぴゅる~!」

「え?」
「あ、あ、ごめんね、クロウ!」
「お、おう。(やっべー……。普段は自分から抱きついたりしねぇから本気でビビッた……)」

「それにみんなも!無事でよかった」
「妖怪ストリートでゲリラしてるって友達から電話で聞いて駆けつけたらこれだったから…ホントに心臓止まるかと思ったんだから……」

「バーカ。俺様があれ程度妖怪の仕業で死ぬわけねーだろ」
「うん……」

「俺達はこのMIDICITYの頂点に立つ深紅色の運命があるんだよ」
「それまで死ねるかっつーの」
「そう…だね…!クロウ達は紅蓮の宿命で集まったメンバーだもんね!」
「おうッ!今日も俺様が一番目立ったからな!」

「それにしても新曲ちゃーんと聞きたかったなぁ」
「また改めて発表すっからよ、次はちゃんと俺達の魂の叫びを聞かせてやるよ」

「なんていうか、梓ちゃんが来るとカッコいいって言葉からホントにかけ離れるね……」
「そうですわね……。手をつなぐだけでなくブンブンと振り回してる姿はまるで子供」
「まさに矮小な小動物そのものだな。」
「ハリネズミなのに針がないって感じだよね」
「確かにな……。まあ今後もあたたかく見守ってやろうや」




ガチャ、
「今日も俺が一番目立ったぜ!」
「おい、クロウよそ見して扉を開けんじゃねえ……」

「きゃんっ!」
「うおっ」

「く、クロウ!?てか、梓か!?」

「あたたた……頭打ったァ……」
「クロウだいじょうぶ?」
「お、おう、すまねぇ……!?!?!?!!!????」
「何、クロウ急に飛び起きないでよ……頭響く……」
「え、あ、すまん。ほらよ」
「うぃ~よいしょっと」

「(い、今のは謝るべきなのか?謝るべきなのか?)」
「どうしたの?クロウ?」
「それでなくても低い背が猫背になってると余計ちっちゃく見えるよ?」
「……」
「クロウ?」
「(梓の胸やわらかかった……じゃねえ!!だから謝るべきなのか?でもそんな気にしてないみてえだけどどうしたらいいんだ?)」

「ねえ、ロム?クロウどうしたの?」
「あー……。アイツは今自分との闘いに燃えてるんだ、そっとしておいてやれ」
「よくわかんないけどそっか……ってアイオーンとヤイバも息してないけど大丈夫?」
「……ああ、ただの風邪だ。放っておいていい」
「熱あるんじゃない?かおあかいし?」
「大丈夫だ、そっとしておいてやれ」

「梓、もう少し危機感持った方がいいからな?俺、お前が心配だわ」
「んー?なんのこと?」

「あ、そうだ何言いに来たか忘れてた!」

「クロウ~!練習終わったならこの前言ってた漆黒のラーメン食べにいこう~!!」
「(だから危機感を持てって……まあ……もう放心してるか…)」
「(謝るべきなのか、違うのか、俺の道を示してくれ黙示録……ってかまた腕に胸あたってるしィィィ!?)」





「あれ、ロム?」
「おう、久しぶりだな」
「昨日もライブで会ったけどね」
「喋るのは久しぶりだろーが」
「まあ、確かに」

「で?どうしたの?わざわざ会社帰りに仕事場まで来てくれるなんて」

 

「あー……その、だな」
「今から時間、あるか?」

 

「えーっと、とりあえずハイボール」
「おまえなー」
「ビールじゃなくてもいいでしょ!」
「あと枝豆!とりあえず以上で!」
「……ったく」

 

「それで?どうしたの?」
「あー……」
「なによ、呼び出したくせに何口濁してるのよ」

 

「……」
「ロム?」

 

「この間、合宿をしたんだが」
「うん」
「その時にアイツらに言われた」
「これ……」
「事務所の掃除してた際に見つけたんだと」
「……」
「俺がアイツと同じバンドに居た事もお前がその頃からの知り合いだって事も、クロウ達には話した」
「そう」
「んな暗い顔すんなよ」
「ちょ、ちょっと!髪の毛混ぜないでよ!」

 

「心配すんな。来週また対バンする時には合宿で作った新曲で挑むつもりだ」
「絶対、見逃すなよ」
「あの新曲には、アイツらの想いが詰まってるからよ」

 

「え、ちょっと、ほんと泣き止んでよ」
「む、むり……むり……しんどいの極み……」
「ちょっとー!梓ー!って、クロウくん!お疲れ様!」

 

「おっ!家畜一号と二号じゃねーか!」
「ってなんだよその顔!」
「く、クロウちゃ……」
「!?お、おい!?」
「梓!?」
「ほ、本当はアイオーンくんとヤイバくんにも抱きつきたいんだけど……クロウちゃんしか届かないから代表されといて……でも二人も聞いて……」

 

「これからも…シンガンクリムゾンズでいてね」
「新曲、ほんとにほんとに最高だっ……うっ……」

「あー!!もう泣くなよ!」
「俺達の魂が籠った曲だからカッコよくて当然だけどな、まだまだこんなもんじゃねーぞ」
「家畜一号、お前がロムの前のバンドからのファンだって事はこの間聞いた」
「だが、だからなんだ?お前は今この紅蓮に燃える俺達シンガンクリムゾンズの家畜だろーが」
「大人しく出荷されとけ、ばーか」

「うっ……く、くろうちゃ……」
「おー」
「ほんと男前」

 

「はー……シンガンのファンでよかっだ……うっ……」
「あー!!テメェ泣き止んだと思ったらまた泣き始めやがって!」
「とりあえず離れろ!抱きつくなっつーの!」

 

「此処外ってこと気付いてるかな」
「(それにしてもクロウくんちっさいなー……並ぶと姉弟みたい…)」

「おい、止めなくていいのかよ」
「んー、まあいいんじゃない?姉弟みたいで可愛いし」

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