若森召喚の話
「召喚に応じ参上、ルーラークラス、ジェームズ・モリアーティだ。まさか将来有望すぎて召喚されるなんて、僕もなかなか捨てたものじゃないな!
え? ヨーロッパをまたにかける大悪党? 何の話だい、それ?」
「と、梓さんのところに若い教授こと若フィフくんが来て数日経ったわけですが……」
「あ! センパイ、見つけたよ!」
「何故かめちゃくちゃ懐かれてるよね、梓さん」
「なんかね、うん。謎に懐かれてますね」
「無視しないでよー!」
「あー、うんうん。ごめんね? 若フィフ」
「てか、その若フィフって呼び方もイヤ! フィフってアラフィフから来てるでしょ!? 僕まだ十代なんだけど!」
「え〜……。じゃあなんて呼んでほしいの? 可愛い後輩くん?」
「いいね、それ!」
「いや、冗談だし」
「梓さんと言えばルーラー召喚率八割超えですが、今回は結構苦労されたとか」
「久しぶりに聖晶石のこと金平糖って言いながら投げてるの見た」
「アルジュナさんが止めても召喚をする姿は懐かしささえありましたね」
「モリアーティ欲しさにいつぞやのホワイトデーも大爆死してたけどね」
「そんなこともありましたね……」
「でも来てほしかったなら懐かれてて問題なさそうだよね?」
「あー、いや、なんというか……実は……」
「え、何? すでに実害が!?」
「実害っていうか……見てもらったほうが早いと言うか?」
「「見る?」」
「……ダ・ヴィンチちゃん」
『はいはーい、聞こえてるよ!』
「一画使っても?」
『オッケー!』
「令呪をもって命ずる。モリアーティ、再臨して」
「これでいいのかな、レディ」
「うん、ありがとう」
「……」
ポン!
「はい、おしまい!」
「「えっ」」
「れ、令呪を切ったのに……第一再臨に戻ってしまいました!」
「よそ見なんてしちゃダメだよ、センパイ!」
「あー、はいはい」
「僕以外、善性の高い後輩はいらないよね?」
「いや、そもそも自分が善属性だなんて思ってないんだけど」
「そんなことないでしょ? だって僕を召喚できたんだし」
「悪属性とか、犯罪界のカリスマとか、僕には関係ないもんね?
ルーラーのモリアーティは僕だけだよね? ね?」
「……マシュ、すでにアラフィフの片鱗があるんだけど」
「ですね」
「な〜んでこんな気に入られてるのかほんとわかんないんだよね〜」
「まぁ、人理のためにがんばってくれるならなんでもいいけど……」
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