カルデア日記9
二部四章PU2のはなし
八割っていうかほぼギャグ
「はぁ……」
「あれ、珍しいですね!梓さんがため息ついてるなんて」
「立香ちゃんとマシュちゃん……」
「それに、今日はアルジュナさんとご一緒ではないんですね?」
「あー……うん」
「ちょうどそのことで悩んでるんだよね」
「え、本格的に珍しい……」
「それで何があったんですか?」
「いや、大した悩みじゃないんだけど……」
「昨日、ほら、異聞帯のアルジュナが来たじゃない?」
「はい」
「うん」
「呼び方に……とても困っていますね……」
「あ、今ほんとしょーもないって思ったでしょ?
立香ちゃんところみたいにオルタがいっぱいいるわけじゃないから、今まで私が言うオルタさんってバーサーカーのアタランテさんだったの」
「なのに……なのに……。あのアルジュナもバーサーカーのオルタ……もう名前をどう呼んでいいか困る……。
そもそも異聞帯の神さまを呼び捨てのままでいいのかすらわからない」
「確かに梓さん的には深刻な問題?かも?」
「少し真面目すぎる結果な気もしますが……」
「そこはきっと梓さんのそういう真面目なところに惹かれて召喚に応じてるのかもしれないし」
「……ああ、なるほど」
「こんな事で悩んでるのもアホらしい気もするんだけど!!!!どうしたらいいの……どうしたら……」
「マスター」
「ひぇっ!!???あ、アルジュナ……さん?いや、アルジュナ様?」
「呼び捨てで、構わない」
「マスターの声は、何故か、わからないが……懐かしい気がして、落ち着く」
「アル、ジュナ……?」
「ああ」
「(せ、先輩!!!!!)」
「(わわわわわかってる!!!!!)」
「(異聞帯のアルジュナさんが笑っています!)」
「(感情がないって言われてたはずなのに、あ、あんな顔も出来るの!!!!????)」
「もう二人ともアルジュナさんでいいのでは」
「そうしたらお二人とも振り返ってきそうですね」
「いや、もうそれでいい気がしてきた。私的には」
絶賛呼び方に悩んでいる。
――夢を、見た。
汎人類史ではない、自分の姿。
遥か昔に、宿敵とみなしていた男と……再戦したあの日。
地へと落ちる、私へ、呼びかける。あの声。
ああ――。
名前を呼ぶ、女性。
必死の形相に、何を……思ったのか。
異聞帯の私は。
失くしたはずの、自我で。
一体、何を感じたの、だろうか。
「マスター!!」
「ん……。ああ。おはよー、アルジュナ」
「ええ、おはようございます」
「ですが、私が何を怒っているかわかりますか?」
「んー??……あ」
「そうです。隣に眠るそれの事です」
「他意が無いのは重々承知しています。
そして反転した私がご迷惑をおかけしているのも理解しています。
しかし反転した私も男です。一緒に就寝されるのはお控えください」
「でも」
「でも、ではないのです。何度目ですか?」
「ますたあ」
「あ、おはよう。アルジュナ」
「ほらー、この、なんていうか、弟が出来た?みたいな感じがつい……」
「そういいながら頭を撫でない」
「すり寄ってくるのめちゃくちゃ可愛いんですよ」
「貴女は危機感が無さすぎるのでは?」
「私の声に応じてくれたサーヴァントに危機感なんて持つ必要あるの?」
「……はぁ」
「この無自覚人たらし」
「めちゃくちゃディスられてるよね!!!????そっちこそなんなの小姑!!!!?????」
「忘れてないんだけど、召喚した日から私下着見られてるんだし!!!!????今更隠すモノなんてなくね!!!????チベスナみたいな顔してたの忘れてないからな!!!!????」
この後立香ちゃんか誰かに呼びに来られるまでずっと言い合い続ける二人、とまだ眠そうな異聞帯ジュナ。
再臨前の異聞帯ジュナ、絆レベルあがったら小動物みたいに甘えたりしてほしい。表情変化しないのに耳とか尻尾でわかる、みたいなの最高すぎてベリー可愛いと思います。
「アルジュナ~~」
「はい」
「……」
「あっ、あー……」
「(そういえば今アルジュナが二人居るんだった……)」
「如何されましたか?」
「マスター?」
「(どうしよう、気持ちとしてはアーチャーのアルジュナを呼んだつもりだったんだけど……けど……)」
「うー……あー……。
ダメ……選べない……」
「マスター?お体が優れませんか?医務室に……マスター?」
「なぜ……肩を、掴む……?」
「今から二人まとめてレイシフトについて来てもらいます」
「異論は認めない」
「冬木はモニター越しでしか見た事なかったけど、実際に来るとやっぱり此の世の終わりって表現が合う……」
『実際の終わりを経験した人間の言う事かーい?』
「いや、ダ・ヴィンチちゃん。イメージの話。イメージの」
「マスター」
「こーめーせんせー?どうしたんですか?」
「話を遮ってしまってすまない。が、少し相談があってな」
「そ、そ、そうだん……?」
「頼むから戦闘中に私をワンクッションにするのはやめてもらえないだろうか?」
「ん……?え、あ、もしかして……」
「ああ。戦闘中に私を挟んで兄弟喧嘩が勃発するのが敵わん」
「あー……」
「レイシフト先が比較的エネミーの弱い場所を巡っているのはわかる」
「しかしだな、あの兄弟の喧嘩を抑えつつ戦うのは効率が悪い」
「前衛に居る時、やっぱり喧嘩ってか争ってます?」
「エネミー討伐数やらレイシフト数やらしょうもないものまで大体なんでも競い合ってるぞ」
「うーーーーん……。それはせんせいの胃にまた穴があいちゃう……」
「そうなる前に編成を少し考えてほしい」
「は、はい……すみません……」
「前衛と後衛に分けるだけで随分と気が楽だろう」
結果なんですけど、ジュナこーめージュナで前衛固めてしまったので多分また怒られます。
「はぁ……」
「梓さん最近ため息多くない?」
「もう……むり……」
「さっきからずっとこの調子なんだよ」
「アシュヴァッターマンさん!」
「おう」
「アシュヴァッターマンさん、ガラ悪いのにめちゃくちゃ私に付き合ってくれるいいオカンだよ……」
「誰がオカンだゴラァ」
「あいだっ!!うわ、優しい!!!!チョコ!!!!!」
「(これはお母さん……)」
「(意外と世話焼きなんですね、アシュヴァッターマンさん)」
「あ?で、そっちのマスターとデミサーヴァントは何の用だ?」
「い、いえ!梓さんが食堂でおひとりだったので……」
「あー……アルジュナといつも一緒、だっけか?」
「もしかしてまたアルジュナさんの事で悩んでるの!!??」
「んー、まぁ……」
「アルジュナの野郎が構ってくれないんで拗ねてるんだとよ」
「べ、べ、べっっっっっつに拗ねてないし!!!!!!」
「ただアルジュナ……あ、オルタの方ね。が再臨しちゃってなんとなく自我が戻っちゃって……
一緒に寝てくれなくなった!!!!!!!!!!!!!!!!」
「「え」」
「すごい、こう、アルジュナ……あ、弓の方に慕ってて、なんか、うん。兄弟なのかな???って言うぐらい……時々楽しそうに微笑んでるの見て、うわっ、そんな顔も出来ちゃうの!!!???みたいな気持ちになる……。
いや、でも、さ~~~~~~??????実の兄とはあんなに犬猿なのになんでやねんって言う気持ちと、でもでも、オルタが人間らしさを取り戻して楽しそうだし、二人とも孤独を感じて無さそうだし、もうなんでもいい幸せなら……みたいな気持ちもあって、でも二人は相部屋になったのに私だけ一人に戻ったのがくそくそくそくそ寂しい……うん……」
「いや、拗ねてるだろ」
「梓さん、アルジュナさんの事になるとちょっとめんどくさい人になりつつあるね」
「異聞帯では……あれほどの絆を見せていただいたのですが……」
「この間も梓さんの前だけで異聞帯のアルジュナさんが笑ってるの初めて見たしね」
「それも再臨前の姿の時で、ですね」
「オカン~~~~オカン~~~~~!!!」
「腰にしがみ付いてくんじゃねえ!!!!!食いもんはもう持ってねえよ!!!!」
「一気に息子二人が自立したみたいな気持ちで寂しいよぉ~~~~~」
「つーか、後ろに居る本人にそれそのまま言やあ解決すんだろ?」
「え?……え゛!!!!!??????」
「あーーーーーーー!!!!!!!!!!!私を!!!!!!!!!!!!!!!!!見るな!!!!!!!!!!!!!!!!」
「サーヴァントと追いかけっこしたら秒速で負けるの、いつもの梓さんならわかってそうなのに」
「あーーーームカつくぜ、余計な事に巻き込みやがって」
「「マスター!!」」
「ひいいいやだあああああ追いかけてくんな~~~~~~!!!!!」
「待ってください、マスター!」
「!!!!! ぎゃんっ!!」
「お待ちなさい、オルタの私!あまり勢いよく掴むとマスターの腕が……!」
「いったぁ……」
「いや、痛くないよ……うん。痛くないからね?
そんな泣きそうな顔しないで、オルタ」
「も、申し訳ありません……マスターへの配慮がアーチャーの私ほどうまく出来ず……」
「痛くないって言ってるんだから気にしないでよ~~~~私が泣いちゃう……」
「立てますか?マスター」
「ありがとう、アルジュナ」
「ひとまずマスターのお部屋へ向かっても?」
「うん、そうしよう」
「それで、マスター」
「何も聞かないで」
「……では、先ほどお聞きした事は全て事実と受けとります」
「もう、それでいいよ……ぜーんぶ事実だし」
「オルタはまだ落ち込んでるの?」
「……」
「いや、ほんと、大丈夫だからね?ほら、もう腕動くよ?????」
「申し訳、ありません……」
「貴女と……絆を深める事によって、私は私の自我を取り戻す事ができました。
それはおそらく、貴女とアーチャーの私の信頼関係が関わっているのでしょう。
私も、貴女とそんな関係になりたいと、望んでしまった」
「アーチャーの私、いえ、本来のアルジュナのようにはうまく立ち振る舞う事は出来ないかもしれません」
「ですが、マスター。
不束な私ですがこれからも貴女の進む道を共に歩んで行きたいです」
「……っ」
「ま、マスター!?わ、私はまた何か粗相を……!?」
「オルタの私、何も言わず側にいておあげなさい」
「あ、るじゅ……なっ……」
「ええ、此処にいますよ」
「……」
「ほら、貴方も」
「……はい、マスター」
「二人は……私の、最高のサーヴァントだ、から……!」
「はーーーーいっぱい泣いたからお腹へった!!!!餃子食べたい!!!!!」
「はいはい」
「え、今日は餃子ではなくカレーの気分なのですが……」
「こら、オルタの私。其処はちゃんとマスターの意見を優遇なさい」
「……も、もうしわけありません……」
「オルタ、カレーにしようか……?」
「(なんかアルジュナにこんなことで反論されるの新鮮)」
アルジュナがマスターの意見を何より優先する中で、異聞帯ジュナは「え、私はこっちがいい」って自分の主張をしてきそうでめちゃくちゃかわいいな、って思ってます。(プロフィール4参照)