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2025/07/18  [PR]
 

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 manga

賢木修二 小ネタ二本
セルフィ―パネルと香水の話







今日は皆本さんの誕生日。
チルドレンたちが住むマンションにお邪魔している。

(みんな、楽しそうだなあ)

主役の皆本さんをおいかける薫ちゃんと、さりげなく傍にいる葵ちゃんと紫穂ちゃん、そして薫ちゃんの隣には悠理ちゃんが。
ティムとバレット、それに学校の帰りに来たらしい澪ちゃんたちも含めるとかなりの人数が集まっていた。
彼女たちを中心に、現場はいつも賑やかだ。

(せっかくだし、写真撮っておこう)

鞄からスマホを取り出し、インカメを起動する。
渦中を指さし、画面をタップしようとした。触れるか触れないかのタイミングで、私同様見守っていたある人と画面越しに目が合った。

「……!」

びっくりして肩がはねた。今の写真、ぶれてるかもしれない。撮った写真を確認していると、すぐ傍で声がした。

「貸しな」

ひょいと奪われたスマホを目で追いかけると、賢木先生の手に収まっていた。

「こうすりゃ、全員入るだろ」

賢木先生が私のスマホを構える。横向けられた画面にはドタバタのチルドレンたち、傍観しているパティちゃんたち、そして私と賢木先生が映っていた。
カメラ目線の賢木先生と私だけ、空間から切り取られたみたいで浮いている気がした。

「ほら」

肩を、引き寄せられる。
画面の私たちにあった空間が無くなった。右肩に熱が触れる。

カシャ

視線をさ迷わせているうちに何回かシャッターを切る音がした。どんな顔で賢木先生の隣に居たらいいかわからなかった。

「梓ちゃん、ちゃんとカメラ見な」
「だ、だって……」

この人は、私が胸に秘めた思いを知っていて、そんな思わせぶりな態度をとるのだ。

「何? 照れてる?」

にやりと笑う賢木先生は本当にずるい男だ。こうやって何人もの女性を虜にしたんだろう。
顔に熱が集まっていく。羞恥にがまんできず、賢木先生の肩を軽く押した……つもりが力が発動して壁にふっとばしてしまった。
物騒な物音に、全員が私たちに目を向ける。

「そ、そういうところですよ! ばか!」

鞄をひっつかんで私はチルドレンの部屋に立てこもった。
天岩戸よろしく、チルドレンたちの必死の説得によって私は数時間後に扉を開けることになる。
痴話げんかとからかわれる羽目になるのだが、今の私は何も知らず暗い部屋で賢木先生のことばかり考えていて、知る由もない。







「梓ちゃん!」
「薫ちゃん、こんにちは!」

「……」
「ど、どうしたの……?」
「くんくん」
「ひゃ、え、か、かおっ……!」
「梓ちゃんさー、香水変えた?」
「香水? つけてないけど……」
「今も? いつも?」
「う、うん」
「なーんか知ってる匂いがするんだよな~」

「それ、賢木先生の香水じゃない?」
「紫穂! それだ!」
「で、心当たりは? 梓ちゃん?」

「え、えー? 昨日は残業で遅くなったから賢木先生に送ってもらって……」
「送り狼!?」
「ち、違うから! 寮の下まで送ってもらっただけだから!」
「でもそれじゃ匂いが移るほどでも無いわ」

「……」
「梓ちゃん?」

「にお……!? うつ……う、移ってる……!?」
「今更その反応?」
「だから香水変えたって聞いたじゃん……」

「そりゃ、朝起こしに来た時だな」
「賢木先生!」
「よ!」

「……」
「あ、梓ちゃん……?」
「デジャブね」

「さ、」
「賢木先生の、ばかーーーーー!!!!!」

「あーあ。行っちゃった」
「どういうつもりなの? 賢木先生」
「とうとう梓ちゃんを嫁にする決意を!? くぅ~、うらやましい!」
「そんなわけないでしょ、薫ちゃん。このヘタレがそんな決心つけられるわけないじゃない」
「ちぇー」
「そのくせ他の男への牽制はしっかりしてるなんて、サイテー」

「ほら、薫ちゃん行きましょ。あんなのと長時間一緒に居ると妊娠しちゃうわよ!」


「……ったく、しゃーねーだろ。そう簡単には言えるもんじゃねーんだよ」
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