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2020/06/28)
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レオナ・キングスカラー
↓の小ネタ
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ソイツを初めて見たのは夕焼けの草原でも指折りのハイスクールの卒業式典だった。
国立のハイスクールゆえ、めんどくせえが王族も参加する卒業式典で、ソイツは卒業証書の授与とは別に表彰されていた。
今どき飛び級なんて珍しくも無いが、ソイツはその中でも特に優秀な成績を収めたとかなんとかだったらしい。話半分にしか聞いてねえのではっきりとは覚えていない。
名前を呼ばれ、壇上に登るソイツはどう見ても俺より年下だった。
背筋を伸ばし、はきはきと答える姿は俺とは正反対で、眩しいものを見ているようだった。
表彰のスピーチまでさせられていて、まるでさらし者じゃねえかと思ったが、ソイツはそんな素振りを一つも見せることなく一つ一つ言葉を噛みしめて話していた。
「この夕焼けの草原で王族の皆さまのお力になりたく幼少の頃より勉学に励んでまいりました」
あほらし。
ガキの癖に可愛げのない言葉の羅列にあくびが出る。
「王宮での勤労を許された御礼は、必ず行為で報いるとこの場で誓わせていただきます」
綺麗事を並べたスピーチに、こんなヤツが従者になんのかよと呆れていたが、徐々に既視感を覚え始めた。
国への敬意を、目を輝かせて話すソイツの目が誰かと重なる。
王族なんてくそくらえと思っているが、理想だけを追い求めて此処まで上り詰めたソイツの言い分は、何故か一蹴することができなかった。
「そういえば、いつから気付かれていたんですか?」
「何がだよ」
「あの、その……私の気持ちです」
「あー……いつだったか?」
「何がだよ」
「あの、その……私の気持ちです」
「あー……いつだったか?」
「いちいち覚えてねえよ。
俺が惚れた方が早かったんじゃねえか?」
俺が惚れた方が早かったんじゃねえか?」
「それはないですね」
「あ? なんで言い切れるんだよ」
「王宮に勤めたいと思ったきっかけがレオナ様ですもん」
「俺? ガキの頃に会ったことあったか?」
「ふふふ、わからないでしょう?」
「私、ファレナ様のご成婚の祝賀で初めてレオナ様をお見かけしたんです」
「……」
「そこで窓辺で黄昏ている一人の男の子を見つけたんです。
父はすぐに話を逸らそうとしましたが、私は彼のことが気になって仕方なかったんです」
「……」
「そこで窓辺で黄昏ている一人の男の子を見つけたんです。
父はすぐに話を逸らそうとしましたが、私は彼のことが気になって仕方なかったんです」
「私の人生はレオナ様から始まったんです」
「……なるほどな」
「え?」
「お前がハイスクールの卒業式典で話してた時の違和感、ようやく理解した」
「え? そ、卒業式典?」
「お前、俺が居たこと知らなかったのか?」
「いや、勿論存じておりましたが……。私のこと、知っていらしたんですね」
「まあな」
「お前、俺が居たこと知らなかったのか?」
「いや、勿論存じておりましたが……。私のこと、知っていらしたんですね」
「まあな」
スピーチをしているヒロインに気付かぬまま惚れてたおじたん。
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