(
2020/06/06)
twst
レオナ・キングスカラー
※年齢操作+男主人公
※途中で飽きたから後半はセリフだけ
レオナさんに呼び出されて王宮に来てみれば、カオスが広がっていた。
「なんっスか……この状況」
棒立ちのレオナさんにしがみつく大男と、彼を引きはがそうとしている小柄の男。
男が三人、集まってなんともむさくるしい。思わず見なかったことにして扉を閉めてやろうかと思った。
男が三人、集まってなんともむさくるしい。思わず見なかったことにして扉を閉めてやろうかと思った。
「あっ! ハイエ……じゃなかった、ラギーさん! ほら、レオナ様! ラギーさんが来ましたよ!」
ナイトレイブンカレッジを卒業して五年あまり。成人したものの、なんだかんだレオナさんとの付き合いも続き、たまにこうして王宮に呼び出されることは少なくなかった。
まあ、レオナさんのところに良く顔を出すので「王宮御用達」の肩書を受けたおかげで商売はそれなりの業績を叩き出している。
「だからハイエナって呼ぶのやめてもらえます? 小動物クン?」
最初に俺に気付いた小柄の男は、神の救いと言わんばかりの表情をしていたが、どさくさに紛れて俺を「ハイエナ」呼ばわりしていたのを気付かないわけがなかった。
大男、もといチェカくんを引きはがそうとしていた少年は苦虫を嚙み潰したような表情を見せると「ははは、スミマセン」と乾いた笑いをこぼした。
いつの頃からか、ミーアキャットとハイエナは天敵と言われるようになった。
古い言い伝えにある幼い王と二匹の従者、百獣の王とハイエナの従者、それに関わりがあるようだが、相変わらず昔の話はうまく伝わっていない。
とにかく、小動物クンことミーアキャットの少年は、ハイエナの俺をあまりよく思っていないらしい。今まで散々言われてきたから特に気にはしていないが、小動物クンの場合は、肉食のハイエナにビビりつつも意地を張ろうとするところがなんとも……捕食し甲斐があるとは思う。ついいじめたくなる。
古い言い伝えにある幼い王と二匹の従者、百獣の王とハイエナの従者、それに関わりがあるようだが、相変わらず昔の話はうまく伝わっていない。
とにかく、小動物クンことミーアキャットの少年は、ハイエナの俺をあまりよく思っていないらしい。今まで散々言われてきたから特に気にはしていないが、小動物クンの場合は、肉食のハイエナにビビりつつも意地を張ろうとするところがなんとも……捕食し甲斐があるとは思う。ついいじめたくなる。
……まあ、そんなことしたら、俺、レオナさんに消されるっスけど。
今日も今日とて、あの小動物にご執心なレオナさんの視線に気付きもしないなんて、食われても仕方ないだろう。
レオナさんとは違う意味で自由奔放なチェカくんに振り回されているミーアキャットは、俺の四つ年下でロイヤルソードアカデミーの三年生だ。
今年からチェカくんもロイヤルソードアカデミーに入学し、初めてのホリデーだったわけだが。
「おじたんともっとお話したい~」
レオナさんより背は伸びてがたいも大きくなったチェカくんは、例え見た目が変わろうとも声変わりが終わろうとも、中身はまだまだ子供のようで、学校に帰りたくないとレオナさんにしがみついているらしい。
動かないレオナさんを見かねた小動物クンが俺に連絡してきたみたいっスけど。
(俺、なんもできないくないっスか……?)
下手に小動物くんを手助けするとレオナさんが怖いし、チェカくんが俺の言うことを聞いてくれるとは思えないし。
想像以上にややこしい呼び出しに頭を掻くと、助けを求める視線がレオナさん越しにひしひしと伝わってくる。
「ほら! チェカ様! そろそろ戻らないと式典に遅れちゃいますよ!」
「……わかった」
「チェカ様……!」
「チェカ様……!」
ほっとした様子で、小動物クンはチェカくんを引っ張っていた腕から力を抜いた。
「じゃ、じゃあ僕、今から先に校舎に戻ったブタ……じゃなかったイボイノシシに連絡してきますね!」
「いつもすまねえな」
「いいえ! いつまでもレオナ様っ子のチェカ様がご迷惑を……」
「いや、あいつも助かってると思うぞ」
「あ、ありがとうございます」
おいおい、男が頭を撫でられて喜ぶなよ。アンタ家畜か?
「では、レオナ様、僕はこれにて。ら、ラギーさんもご足労ありがとうございました!」
廊下を走る背中を見送ると、何事も無かったようにチェカくんがレオナさんから離れた。
「おじたーん。今日も何もしないんだね?」
「あ?」
「せっかくおぜん立てしてあげてるのに」
……何の話っスか?
「手出すなら今のうちだよ?」
「アホか。あいつが成人するまで手は出さねえよ」
「……じゃあ、それまでは僕が余計な虫を払っておいてあげるよ」
「あの子、学校でも人気なんだよね」
色んな意味で。
つまり、チェカくんは駄々をこねるフリをして、レオナさんと小動物クンが接近するきっかけを作っていたと。
天真爛漫で、無自覚にレオナさんを振り回していたあのチェカくんが。
ぱたぱたと足音を立てて戻ってきた小動物くんをいの一番に捉えたレオナさんが鼻で笑った。
「毛玉、どう足掻いたって俺は獲物は逃がさねえからな」
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