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2021/04/30  enst
 game

朔間零






※プリティ5のガチャストしんどすぎて朔間のお家もそういう感じなんかなーっていう妄想
※しんどい



「れ、零……!」
「ほら、逃げんぞ!」
「いいの?」
「何度も言わせんなっつ~の」

「UNDEADだけじゃね~よ。取りこぼしたくなかった何もかもも、朔間のしがらみも。全部投げ出して、お前の手を取るんだよ」

「だからよぉ、俺の腕、離すんじゃね~ぞ……♪」
「……うん!」

 笑顔で彼女が掴んでいた手を握り返したその時、目が覚めた。
 見慣れた天井に手を伸ばした俺は、彼女の名前を呼んだ自分の寝言で起きたらしい。
 大きく息を吐きだすと、宙をさ迷った手をベッドに投げ出した。

(寝汗かいて気持ち悪りい……)

 やけに心臓がバクバクと音を立てている。
 浅い呼吸を繰り返すうちにだんだん落ち着いてきた。
 もう一度深く息を吐きだすと、隣で寝息を立てる女に顔を向けた。
 家が取り決めた許嫁だかなんだか知らね~が、まあ生涯を共にする女が安らかに眠っている。
 寝返りをうった女の眠そうな瞳が、わずかばかり開いた。

「零さん? どうしたの?」
「……悪い夢を見ただけじゃよ」
「大丈夫?」

 すり寄ってくる女の肩を引きよせる。すると女は肩に顔をうずめてもう一度目をつむった。

「起こしてしまってすまなかったのう」

 名前も、顔すらもおぼろげな女の生暖かさに不快さを感じる。
 規則正しい寝息がまとわりつく中、俺は空いた腕で両目を覆った。

(まさかまだあんな夢を見ちまうとはな)

 後悔と言う後悔を塗りこめたような、まるで呪いだった。
 全てを投げ出す覚悟が無かったことを、きっと彼女は気づいていた。
 夢ではあんなに屈託なく笑っていたのに、最後に見た作り笑いだけが、今も脳裏に焼き付いている。

 自分勝手な虚構を作り上げるほど焦がれた、たった一人の手を振り払ったのは、俺自身だ。

 彼女を犠牲にして、俺は今日ものうのうと「朔間零」を演じている。
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