ネズとベーシスト

「相変わらず失礼な奴ですね」
「会いに来てるのそっちでしょ」
「いつになったら俺のところに来てくれるんです？」
「言い回しがアウト」
「なぜですかねえ。俺はこんなにもお前のことを思っているというのに」

「だからその言い方！」
「アンタ、自分がどんだけ周りに影響力があるかわかってるんですか！？
　根も葉もないうわさで炎上してファン減るの……いい加減営業妨害なんですけど！！」

「だから、俺のところに来ればいいでしょうが」
「ネズさんがほしいのはベーシストでしょ。私じゃなくてもいいじゃないですか」

「忙しいんでしょ？　箱まで毎回ご丁寧に来なくてもいいんじゃないですか？」
「それじゃあお前を口説けないでしょう？」
「はい？」

「俺はお前の音に惚れた。だから俺の隣で奏でてほしい。それだけですよ」
「ちなみに、お前のメンバーには話をつけています。お前が首を縦に振るまで逃がしませんので」