ルルハワの分岐ルートになる予定だったロード・エルメロイ2世
「なんで私が助けなければいけなかったんだ!」
「でもソワソワしてたでしょ?先生」
「い、いや、まあ……しかし……」
「そう実直に事実を述べてはいけないよ、小さき征服王」
「兄上にはその正論が一番刺さってしまうからね!」
「ライネス!」
「あの、その、今更ですが……通りすがりに助けてもらってありがとうございました……。
そのうえこーめーせんせーにとってもご迷惑をおかけしているみたいで……いや、いつもかけてますけど」
「そ、そういうわけではないのだが」
「なぁに、マスター。そう落ち込まなくてもいい。兄上は文句を言いながらも面倒は見てくれるさ。半分照れ隠しだよ、照れ隠し」
「そーそー!先生の照れ隠し!」
「じゃ、せっかくだし二人で浜辺でも歩いてきたら?」
「え、なんでそうなんの?」
「だってさっきの騒動で先生はマスターと駆け落ちしたサーヴァント扱いされてるでしょ?」
「かけ、おち……?」
「あの見守るしか出来なかったサーヴァントの波を押しのけて、我が兄は立香とマシュから強引に奪ってきたからねえ」
「ら、ライネスさん???アレキサンダーくん????」
「それにさ、僕には海ってぼんやりしか見えないから!」
「小さい征服王もジュースを買いに行ったグレイも、私が責任をもって部屋に連れて戻るので安心したまえ」
「せっかくだから二人で楽しんできなよ!マスター!先生!」
「と、言うわけで何故か浜辺を二人で歩く羽目になっちゃったんですが」
「すまない」
「せんせーのせいではないですよ!!!???」
「てか暑くないですか?スーツ」
「見た目だけだからな」
「見てるこっちは暑いですけど……ったー」
「そういえばせんせーと二人なんて初めてじゃないですか?」
「確かに。常に誰かしら側に居るからな、君は」
「おおおおおワイハの海!!!!!去年もだけど全く今年も海に近寄らなかったので!海~~~~!!!!」
「なぜ近づかなかったんだ?」
「日焼けが気になりすぎてなかなか海なんていけないですよ~~」
「あと、人多いの苦手なんで」
「結局はそこか、引きこもり」
「大勢が苦手なだけです~~~」
「サンダル脱ご!」
「おい、はしゃがないんじゃなかったのか」
「久しぶりにレイシフトじゃない海見たらなんか嬉しくなりました!足ぐらい水につけたいです!」
「裾を持ちあげるな。はしたない」
「えー」
「……せんせー」
「なんだ?」
「さっきね、アレキサンダーくんが言ってたじゃないですか」
「……海の事か」
「はい」
「前にアレキサンダーくんの強化でとある島にレイシフトしたんですよ。
小さな無人島だったので念願の海が広がっているのに、彼には見えなかった」
「それを思い出して、ちょっとネガティブになりました」
「……バカだな」
「うぇ!?え、ちょっと髪の毛ぐしゃぐしゃにしないでくださいよ!」
「それはお前にはどうしようもできない事だろう、抱えすぎるな」
「……ありがとうございます。せんせー」
「いえ……ロード・エルメロイ二世、ですね」
「……」
「それなら、ウェイバーと呼んでくれないか」
「え?」
「孔明殿を抜きにするなら、ロード呼びはやめてくれ」
「うぇいばー、さん」
「ああ」
「えへへ、ウェイバーさん!」
「あ、おい、こら!どさくさに紛れて海水をかけようとするな!」
「え~~~~???」
「おいマスター!そのだらしない表情を今すぐやめろ!」
「せんせーがデレた~~~~!!!!」