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諸伏高明夢「初恋は終わらない」
同ヒロイン小ネタ
本編前の話×3本






本編前 県庁での一幕

「おや、達英さん」
「諸伏先輩!」
「県庁に御用ですか?」
「そうなんです。書類を持ってきたんですが、終わったので職場に帰ろうかと」

「先輩は? 今戻られたんですか?」
「ええ。事件が解決したので戻ってきたところで……」

「達英ちゃん!」
「由衣ちゃん! 大和先輩も!」
「どうしたの? 諸伏警部に会いに来たの?」
「え、違う違う! 職場の書類を提出に来ただけ。帰ろうとしてたら諸伏先輩と会ったの」

「ならごはん一緒に食べない!?」
「でも私の休憩、三時からだしなぁ……あ」
「どしたの?」
「先に休憩取っていいよって上司から連絡来てた」
「なら決定ね! 行きましょ!」
「ちょ、由衣ちゃん! 背中押さないで〜!」

「思いっきり否定されてたな、諸伏先輩?」
「うるさいですよ」





本編前 県庁での一幕(モブ視点)

「あ、諸伏警部だ」
「本当だ。もうあの事件解決したのか。てか、隣の人は?」
「わかんね。県庁の職員じゃねぇよな?」
「多分。道を教えてあげてる、とかか?」

「……では無さそうじゃね?」
「おう」
「なんか、めちゃくちゃ嬉しそう?」
「諸伏警部がな」

「あ、大和警部と上原刑事も来た」
「知り合いか?」
「仲良さそうだな」
「上原刑事ってあんなスキンシップ多いんだ」
「思った」

「もしかして……」
「やっぱ、お前も気づいた?」
「そりゃあそうだろ。諸伏警部たちとあんな気兼ね無く話せる人間、なかなか居ねぇよ」

「あれが噂のサトエサンか……」
「なんか……思ってたより、普通?」
「上原刑事みたいな美人を想像してたけど、可愛い系だな」
「守ってあげたい欲を駆り立てられるとか?」
「ああ、なるほど」
「でも諸伏警部のあんな顔、なかなか見られねぇよな」
「確かに」

「大和警部と上原刑事といい、あそこの班ってなんだかんだでリア充だよな」
「リア充とか死語だろ。久しぶりに聞いたわ」
「俺らもオッサンになったなー」
「なー。とりあえず飯食いに行こうぜ」
「向かいのファミレスで良いか?」
「並んでなかったらなー」





雪崩前の話(大和←達英)

「お、芝じゃねぇか」
「大和先輩! こんばんは!」
「おう、今帰りか?」
「はい、今日はライブだったので……」

「の割に、サンダルか?」
「え?」
「由衣が前に『サンダルでライブは危ない』って言ってたからよ」
「ああ。前に親指ケガした話ですね……」

 いつぞやのライブの話だ。
 整理番号も悪かったので後ろで見るつもりだったので、サンダルで参戦していたのだ。しかし予想とは反して、後方から押しに押されて前列てもみくちゃになり、ライブ終わりに足を見たら踏まれて親指の爪が変色していた……という話である。

「今日は人の少ない対バンだったのでサンダルでも大丈夫だったんです」
「ほぉ、ライブって一言で言っても色々あるんだな」
「そうですね」

「先輩は今までお仕事ですか?」
「おー。コウメイとさっきまで居たんだけどよ、アイツは先に帰っちまった」
「そうなんですね」

「良かったら乗ってくか?」
「いやいや、歩いて帰れますから! うち、そこですし」
「でもマンションの近くは暗えだろ?」

「でも……」
「遠慮すんな、このまま放っておいたら由衣にもコウメイにもグチグチ言われちまうからよ」
「じゃあ……お言葉に甘えて……お、お邪魔します」

「遠回りになるのに、わざわざありがとうございました」
「気ぃつけて帰れよ」
「はい」

 車が見えなくなるまで、その後ろ姿をじっと見送っていた。

(大和先輩の車、初めて乗らせてもらったけど……)

 足元を見下ろすと、飾り気のないスポーツサンダルの白いソールだけが、暗闇にぽっかりと浮いていた。

(やっぱり今日に限って、『安いサンダルを履いてる』んだよね)

 頭の中に、あのシンガーソングライターの曲がよぎる。そう言う運命、なんだろうな。

――「DESTINY」松任谷由実
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